イランには古くから、羊や山羊などの家畜とともに季節ごとに移動する遊牧民や半遊牧民が暮らしてきました。夏には涼しい高地へ、冬には温暖な低地へと移動し、その土地の自然環境に合わせながら生活を営んできた人々です。
しかし、現在もすべての部族が遊牧生活を続けているわけではありません。20世紀以降の社会や経済の変化、都市化、牧草地を取り巻く環境の変化などによって定住化が進み、現在では町や村で生活する人々も多くなっています。一方で、カシュガイ族やバクティアリ族などには、現在も季節移動を続ける人々がいます。
こうした部族の暮らしの中で発達したものの一つが、絨毯やキリムをはじめとする織物文化です。床に敷く絨毯だけでなく、荷物を収納する袋や家畜の背に掛ける袋、テントの装飾など、織物は生活に欠かすことのできない道具でもありました。
都市の工房で図案に沿って制作される絨毯とは異なり、伝統的な部族の絨毯では、織り手が受け継いだ文様や記憶をもとに自由に構成されたものも多く見られます。このページでは、イランの絨毯文化と深い関わりを持つ代表的な部族をご紹介します。











