ナイン絨毯の「LA(ラ)」とは|9LA・6LA・4LAの違い

ナイン絨毯の「LA(ラ)」とは

ナイン産ペルシャ絨毯のLA分類

ナイン産のペルシャ絨毯には、「9LA」「6LA」「4LA」などの分類があります。LAはナイン絨毯特有の分類方法で、絨毯に使われる縦糸の細さや構成に関係しています。基本的には、LAの数字が小さいほど細い糸が用いられ、より緻密で繊細な文様を表現できます。

ただし、ナイン絨毯の価値はLA表記だけで決まるものではありません。素材の質、ノット密度、職人の技術、デザイン、色彩、制作年代、保存状態など、さまざまな要素によって形づくられます。このページでは、ナインが絨毯産地として発展した背景とともに、9LA・6LA・4LAの特徴や、その違いについてご説明します。

01. ナインが絨毯産地になるまで

ナインは、もともと細やかな手仕事に長けた職人の町として、長い伝統を持っています。かつては、「アバヤ」と呼ばれるラクダの毛を原料とした男性用の手織りマントの産地として名声を得ていました。しかし、機械織りの布の普及や時代の変化によって、1920年頃には手織りマントの需要が大きく減少します。

その後、ナインの町は新たに絨毯産業へ力を入れるようになりました。手織りマントの制作によって培われてきた緻密な織りの技術は絨毯制作にも受け継がれ、職人たちは短期間のうちに高度な絨毯織りの技術を身につけていきます。こうしてナインは、精巧な織りと端正なデザインを備えた、高品質なペルシャ絨毯の産地として世界的に知られるようになりました。

ナイン絨毯は、イスファハン産の絨毯から強い影響を受けて発展したと考えられています。イスファハンは、シャー・アッバース1世によって1597年に首都とされ、サファヴィー朝を代表する芸術と工芸の中心地として栄えました。ナイン絨毯にも、イスファハン絨毯を思わせる中央のメダリオン、繊細な花唐草、均整の取れた構成などが多く取り入れられています。

その一方で、ナインは独自の美意識を築き上げました。特にアイボリーを基調に、水色や青を組み合わせた色彩は、ナイン絨毯を象徴する特徴です。繊細な文様と澄んだ青色が調和した作品には、ほかの産地にはない独自の美しさがあります。また、ナインを代表する歴史的建造物の一つに、町の中心に位置するジャーメ・モスクがあります。ナイン絨毯の中には、こうしたモスク建築を思わせる構成や意匠を取り入れた作品も見られます。

02. ナイン絨毯のLA(ラ)とは

ナイン産の絨毯には、「LA(ラ)」という独自の分類が用いられます。LAは、絨毯の土台となる縦糸の細さや構成を示すための分類です。

9LA(ノーラ) 比較的太い縦糸を用いる分類
6LA(シシラ) ナイン絨毯を代表する一般的な分類
4LA(チャハルラ) 非常に細い縦糸を用いる希少な分類
12LA(ダヴァズダラ) 9LAより太い縦糸を用いる分類

基本的には、LAの数字が小さくなるほど縦糸が細くなり、より多くの結び目を作ることが可能になります。そのため、曲線や花びら、蔓、文様の輪郭などを、さらに細かく表現できるようになります。ただし、LAは縦糸の構成を示す分類であり、絨毯の品質や価値を単独で決定する等級ではありません。

03. 9LA(ノーラ)の特徴

9LAは、ナイン絨毯の中では比較的手に取りやすい価格帯で見られる分類です。ノット密度は、一般的に1平方メートル当たり約36万ノットが一つの目安とされています。

6LAや4LAと比較すると糸はやや太くなりますが、ナイン産らしい端正なデザインと上品な色調、精巧な織りを十分に備えています。ナイン絨毯ならではの美しさを、比較的親しみやすい価格帯で楽しめる点も9LAの魅力です。

なお、同じ9LAであっても、使用されるウールの質、シルクの割合、職人の技術、デザインの完成度などによって、品質には違いがあります。

04. 6LA(シシラ)の特徴

6LAは、ナイン産の絨毯の中で代表的な分類の一つです。ノット密度は、一般的に1平方メートル当たり約64万ノットが目安とされています。

9LAよりも細い縦糸を使用できるため、花や蔓、メダリオンの輪郭などを、より緻密に表現できます。ウールのパイルにシルクを織り交ぜ、文様の輪郭や細部を際立たせた作品も多く見られます。織りの細かさ、デザインの複雑さ、素材の美しさのバランスに優れ、ナイン絨毯を愛好する方々からも高く評価されています。

ナイン 6LA 1970年代 2570×2050mm
ナイン 6LA 1970年代 2570×2050mm

こちらは、1970年代に制作されたナイン産の6LA絨毯です。大きな画面の中に繊細な文様が整然と配置され、ナイン産らしい緻密な織りと端正な構成をご覧いただけます。モスク建築を思わせる構成や意匠も、この絨毯の見どころの一つです。

05. 4LA(チャハルラ)の特徴

4LAは、ナイン絨毯の中でも特に細かな織りを持つ、希少性の高い分類です。一般的には70ラジ前後、1平方メートル当たり約100万ノットに達するものもあるとされています。

非常に細い糸を使用するため、花びらの重なりや細い蔓、文様の輪郭などを、より緻密かつ滑らかに表現できます。素材にも上質なウールやシルクが用いられることが多く、織り上げるためには高度な技術と長い制作期間を必要とします。その希少性と完成度の高さから、4LAは愛好家やコレクターから特に評価される分類です。

ただし、ノット密度が非常に高い絨毯であっても、縦糸やフリンジ部分の糸の構成を確認すると、厳密には4LAに分類できない場合があります。そのため、ノット密度だけで4LAと判断するのではなく、絨毯の構造を含めて確認することが重要です。

06. 12LA(ダヴァズダラ)について

ナイン絨毯には、9LAよりも太い糸を使用する12LAも存在します。12LAは、ペルシャ語で「ダヴァズダラ」と呼ばれます。現在の市場では9LA・6LA・4LAと比較して見かける機会が少なく、ナイン絨毯の分類として紹介される際にも省略されることがあります。

LAの数字が大きいため、一般的には9LAよりも太い縦糸を使用し、結び目も大きくなります。ただし、12LAであることだけを理由に、絨毯の価値が低いと判断することはできません。制作年代、デザイン、素材、職人の技術、保存状態などによっては、十分に魅力を持つ作品もあります。

07. LAとノット密度は必ず一致するのか

LAとノット密度には関係がありますが、必ずしも完全に一致するものではありません。一般的には、数字の小さいLAほど細い糸を使用しやすく、ノット密度も高くなる傾向があります。一方で、LAは縦糸の構成を示す分類であり、ノット密度は一定の面積にどれだけの結び目があるかを示す数値です。

そのため、非常に高いノット密度を持つ絨毯であっても、フリンジ部分に現れる縦糸の構成によっては、4LAではなく6LAに分類されることがあります。実際に、ノット密度だけを見れば十分に4LA相当と考えられる絨毯であっても、フリンジの綴り数や縦糸の構成から、厳密には6LAとして扱う場合があります。

LAを判断するときに確認する要素

  • フリンジに現れる縦糸の構成
  • 縦糸の太さ
  • 絨毯裏面の結び目
  • ノット密度
  • 織りの均一性
  • 文様の細かさ

ノット密度は品質を知るための重要な要素ですが、それだけでLAを断定することはできません。LAは、絨毯の構造や織りの細かさを理解するための一つの目安です。素材、職人の技術、色彩、デザイン、制作年代、保存状態なども含めて、一枚の絨毯が持つ全体の美しさや完成度を見ることが大切です。

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