カーペットの生産国と特徴
 

生産国

01.クム
テヘランの南約160kmに位置するクムはイスラム教シーア派の聖地であり、国外からの巡礼者も多く宗教色の濃い独特の雰囲気を持つ町で、クムのペルシャ絨毯産地としての歴史は浅く、100%シルク絨毯の本格生産が開始されたのは20世紀からです。クムは新しい産地ということを有利に生かしデザインや絨毯技術に、他の産地のいいところだけを取り込み、伝統に囚われない斬新さを特徴としています。

02.カシャン
カシャンのカーペットは、伝統的で典型的なペルシャのデザインで、エレガントな美しい装飾が施されています。 数あるペルシャカーペットの代表作の一つです。カシャンカーペットの特徴は、通常大型のメダル様の紋様が中央にあり、その周りを美しい花のモチーフで囲んで、独自の東洋的な雰囲気を出しています。

03.ケルマン
ケルマンはイラン南東部、テヘランから南に1000kmのルート砂漠にある高原の砂漠都市です。繊細で華やかな花文様が特徴ですが、緑の少ない地だからこそ発達してきたデザインだと言われています。この地域は染色技術が傑出しており、ケルマンの染め職人は他では見られない優美で繊細な色味を生み出すことで有名になりました。ケルマンカーペットは王室に人気が高いとして世界から認められてきました。

04.バルーチ
バルーチ族はイランとアフガニスタンの国境地区に住んでいる小規模の遊牧民に対する総称名です。彼らは、カーペット製造と一緒に農業、羊、ヤギやラクダの飼育で生計を立てています。色は鈍く暗めの赤色、暗めの青、黒、茶色が多く見られます。絨毯の模様は曲線的な木の模様と、幾何学的模様が特徴的です。礼拝用のアーチ型モチーフも多く見られます。絨毯を摩擦から守るため、短辺に装飾的なキリムを施している場合があります。

05.トルクメン
トルクメンカーペットは、縦糸がほとんどの場合羊毛で作られており、部族紋章のようなギュル模様を反復して使用されていることが特徴です。ギュルとは、ペルシア語で花を意味し、かつてはそれが各部族のトーテムであったといわれるほど多様なバリエーションがあります。トルクメン族は、古くから絨毯づくりに長けた民族としても知られており、かなり古い時代から製作されていたことが推察されています。

06.アフガン
アフガニスタンのトルクメン族によって手織りされています。アフガニスタンのカーペットといえば鮮やかな赤の色あいが特色です。シンプルな色数で構成されたデザインに映える漆黒の赤色がペルシア絨毯にはない色の深みを楽しむ絨毯と言えるのではないでしょうか。