カーペットの産地
テヘラン
イランの首都。商工業の中心地で西アジア最大規模のバザールがある。
イスファハン
サファビー朝の首都として栄え、世界遺産に登録されたイマーム広場など、美しい建築物が多く残っている。イスファハンのカーペットは繊細で華麗な色調とデザインが特色で、現在でもレベルの高いカーペットが生産されている。
トルクメン族
スンニー派を信奉するトルコ系部族。トルクメンのカーペットはギュル紋様と呼ばれる幾何学紋様の繰り返しのデザインが多い。
バルーチ族
イラン語系バルーチ語を話す。バルーチ族のカーペットは臙脂色と紺色を多用した暗い配色のものが多い。
カシュガイ族
イランのファルス州を中心に移住する大部族。年2回のおよそ600kmにわたる移動はイラン全遊牧民中大規模の体系を持って行われる。
カーペットを構成するパーツ
フィールドと呼ばれる中央部と、それを囲んでいるボーダーと呼ばれる周辺部で構成されている。
カーペットの種類
メダリオン・コーナー・タイプ
フィールドの中央にメダリオン、四隅にコーナーをそれぞれ持つ様式。
メダリオン・タイプ
フィールドの中央にメダリオン、コーナーを持たない様式。
オーバーオール・タイプ
メダリオンを持たない総柄の様式。
メヘラブ・タイプ
フィールドの上部にメヘラブ紋様を持つ様式。ミヒラーブに向かってお祈りする事から、上下の方向が明確に決まっている。トライバルラグのメヘラブ・タイプのカーペットは直線的なデザインもある。
ピクチャー・タイプ
フィールド全体が絵画的な様式。肖像画のように特別注文により製作されたものも多く、敷物としてより壁にかけて飾る装飾品として使われる事が多い。
トライバル・タイプ
部族(トライブ)によって作られた伝統的な様式。遊牧民のカーペットは下絵なしで織られることが多い。
カーペットの紋様
シャーアッパス
バラ・ダリア・ユリなどの断面を描いたペルシャ絨毯の主要な紋様。シャーアッパス1世がイスファハンに首都を移した頃に完成したとされている。
ジオメトリック
直線で描かれた文様が組み合わせられており、芸術性が高い紋様。現代のインテリアにも合わせやすい。
エスリム
エスリムは蔓草の意。エスリム紋様は平面のカーペットに立体的な空間のイメージを生み出す。
生命の樹
生き生きとした緑豊かな樹木は生命賛歌・子孫繁栄の意味が込められている。花や果実をつけているものなど様々なバリエーションがある。
ギュル
トルクメン族が作り出すカーペットによく見られる菱形の幾何学紋様。細部は各部族によってそれぞれ異なり、独自の伝統的なデザインを持つ。
花瓶
花瓶はペルシャ語で「ゴルダニ」。乾燥した風土で暮らす人々にとって水を象徴する花瓶には豊饅と清潔の象徴であり、人気のモチーフとなっている。
孔雀
イランでは鳥は神からの使者といわれ、特にカシュガイ族の間では孔雀は美の象徴とされ愛されてきた。
ボテ
糸杉が風にたなびく様子をデザインしたタイプと松ぼっくりを原型としたタイプがある。イランでは尊厳を象徴するものとして繰り返し現れている。
走る犬
遊牧民にとって犬は羊を外敵から守る貴重な存在であった。カーペットのエッジに抽象化された走り回るこの犬の紋様は家内安全の象徴となっている。