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ウールの魅力と素材になるまでの工程

ウールの魅力と素材になるまでの工程

ウール

ウールは約8,000年にわたり受け継がれてきた、人にも環境にも優しい天然繊維です。冬は暖かく、夏はさらっと。汗ばむ季節もムレにくく、汚れに強く、においも残りにくい。

ウールの魅力

ウールはカーペット素材として唯一無二の実力を持つ繊維で、メリットしかないというくらい奇跡の素材なのです。

  • 一年中快適:冬は保温、夏はさらっと。四季を通じて心地よい。
  • 調湿・通気:繊維内部が湿度を吸放出し、ムレやベタつきを抑える。
  • 難燃性:燃えにくく、火源から離れると自己消火性が働きやすい。
  • 撥水・防汚:スケール構造が水分と汚れを寄せつけにくく、お手入れもしやすい。
  • 抗菌防臭:細菌の繁殖を抑え、においがこもりにくい。
  • 発色が美しく長持ち:染色性に優れ、深みのある色調を長く楽しめる。
  • サステナブル:再生可能資源で長寿命。使い込むほど味わいが増す天然素材。
ウールはカーペットにまさに最適な素材です。カーペットの素材には他にも絹や綿、ヤギやラクダの毛も使われますが、やはり多くの場合はウールを主役として織り上げられてきました。

01.羊からはじまる絨毯づくり ― シェアリング(毛刈り)

絨毯づくりは、羊の毛刈り「シェアリング」から始まります。シェアリングとは、羊の体から羊毛を慎重に刈り取る作業のこと。通常は年に一度行われ、この仕事を担う人は「シアラー(毛刈り職人)」と呼ばれます。

毛刈りの目的

  • 羊毛の収穫:糸や布、衣料、そして絨毯の原料となる高品質な羊毛を得る。
  • 羊の健康維持:毛を刈らず放置すると過剰に伸び、熱中症や病気、害虫のリスクが高まる。
  • 羊毛の品質向上:定期的に毛を刈ることで、次に生える毛は柔らかく清潔で上質になる。
刈り取りには専用の電動バリカンが使われ、熟練の職人が羊を傷つけないように素早く、かつ丁寧に作業します。職人は「セカンドカット(刈り残しを再度切ること)」を避ける技術も持ち合わせており、これは繊維を短くしてしまうため極力行われません。
毛刈り後の羊毛は選別され、汚れや絡まりを取り除いたのち、洗浄・乾燥の工程へと進みます。

02.繊維を整える ― カーディングとコーミング

毛刈り直後の羊毛は塊のように絡まり、そのままでは糸にできません。ここで行われるのが「カーディング(梳毛)」と「コーミング(櫛通し)」です。

カーディング

13世紀フランスの記録に残る方法で、針金の歯が並んだ道具「カーダー」で羊毛を繰り返し梳き、方向を揃え、ふんわりとした繊維層に整えます。これにより柔らかい緯糸に向いた糸が得られます。

コーミング

櫛を使って絡まりや異物、短い繊維(ノイル)を取り除き、長く丈夫な繊維だけを残す方法。強靭な経糸を作るのに適しています。
カーディングやコーミングが不十分だと糸の中に結び目や塊が残り、織りの際に糸切れの原因となってしまいます。そのため、絨毯の品質を大きく左右する重要な工程です。

03.糸へと姿を変える ― スピニング(紡績)

カーディングで整えられた羊毛は、次に「スピニング(紡績)」によって糸へと生まれ変わります。紡績とは、羊毛を細く引き伸ばしながら撚りをかけ、一本の連続した糸にする工程です。

古代からの道具

もっとも古い道具は「ドロップスピンドル」と呼ばれるもので、新石器時代から使われてきました。棒の先に重りをつけ、それを回転させて撚りをかけるシンプルな仕組みです。15世紀ごろからはヨーロッパで「紡ぎ車」が使われ、効率的に糸が作られるようになりました。

経糸と緯糸の違い

  • 経糸(たていと):織機に強く張られるため、長く整った繊維を2本以上撚り合わせた「双糸」にして強度を高める。
  • 緯糸(よこいと):強さよりも柔らかさが重視され、ふんわりとした撚りが絨毯に優しい踏み心地を与える。
こうして紡がれた糸は染色され、いよいよ織りの工程へと進み、職人の手によって美しい絨毯となっていきます。
ウールは、調湿性・耐久性・染色性に優れた天然素材であり、カーペットに最適な存在です。その魅力を最大限に引き出すためには、羊の毛刈りから始まり、カーディング、紡績といった丁寧な工程が不可欠です。
私たちの足元を彩る一枚の絨毯は、自然の恵みと職人の技術が積み重なって完成する、まさに「使う芸術品」なのです。
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