絨毯づくりは、羊の毛刈り「シェアリング」から始まります。シェアリングとは、羊の体から羊毛を慎重に刈り取る作業のこと。通常は年に一度行われ、この仕事を担う人は「シアラー(毛刈り職人)」と呼ばれます。
毛刈りの目的
- 羊毛の収穫:糸や布、衣料、そして絨毯の原料となる高品質な羊毛を得る。
- 羊の健康維持:毛を刈らず放置すると過剰に伸び、熱中症や病気、害虫のリスクが高まる。
- 羊毛の品質向上:定期的に毛を刈ることで、次に生える毛は柔らかく清潔で上質になる。
刈り取りには専用の電動バリカンが使われ、熟練の職人が羊を傷つけないように素早く、かつ丁寧に作業します。職人は「セカンドカット(刈り残しを再度切ること)」を避ける技術も持ち合わせており、これは繊維を短くしてしまうため極力行われません。
毛刈り後の羊毛は選別され、汚れや絡まりを取り除いたのち、洗浄・乾燥の工程へと進みます。
カーディングで整えられた羊毛は、次に「スピニング(紡績)」によって糸へと生まれ変わります。紡績とは、羊毛を細く引き伸ばしながら撚りをかけ、一本の連続した糸にする工程です。
古代からの道具
もっとも古い道具は「ドロップスピンドル」と呼ばれるもので、新石器時代から使われてきました。棒の先に重りをつけ、それを回転させて撚りをかけるシンプルな仕組みです。15世紀ごろからはヨーロッパで「紡ぎ車」が使われ、効率的に糸が作られるようになりました。
経糸と緯糸の違い
- 経糸(たていと):織機に強く張られるため、長く整った繊維を2本以上撚り合わせた「双糸」にして強度を高める。
- 緯糸(よこいと):強さよりも柔らかさが重視され、ふんわりとした撚りが絨毯に優しい踏み心地を与える。
こうして紡がれた糸は染色され、いよいよ織りの工程へと進み、職人の手によって美しい絨毯となっていきます。