チベット絨毯
              
      
              チベット絨毯は、ヒマラヤ高原一帯で織られるラグの総称で、厳しい自然と信仰文化を背景に育まれてきました。ラサや周辺地域では古くから寺院用・座具用として重用され、守護と吉祥を願う意匠が豊かに表現されます。その土着性と精神性が、素朴でありながら力強い美しさを生み出しています。
色彩は濃藍や群青、黄、朱、白を基調とし、草木染の発色が経年でしっとりと落ち着きを帯びます。文様には虎(魔除け)や雪獅子、ドラゴン、日輪・瑞雲、八吉祥(蓮華・法輪・吉祥結び ほか)などが多用され、中央に主題を据える構図から、画面全体にモチーフを配するタイプまで幅広く見られます。祈りや護符の意味が織り込まれ、象徴性と装飾性が調和しているのが魅力です。
素材はコシのある高地ウール。棒に掛けたループを後から切りそろえる独特の「チベット結び」により、厚みと弾力、温かい踏み心地を実現します。耐久性にも優れ、玄関やベッドサイド、読書・瞑想コーナー、祈りの空間にも好相性。日常に取り入れやすい実用性と、一枚で場の気配を変える存在感を兼ね備えた、伝統工芸の逸品です。